2006年5月30日刊行 

 A5版・301頁
 

2006年版 世界食料農業白書(2005年報告)

 世界の食料農業の動向と課題に関するFAOの年次報告書「The State of Food and Agriculture 2005」の日本語版。世界の食料・農業問題に関わっている方々の必読の書としてお薦めしたい。


 “貿易は貧困層の助けとなりうるか?”をテーマに、本書は貿易と貿易自由化が貧困層と食料不安に影響を及ぼすいろいろな場面を検証しています。そして、貿易は、貧困層が収入を増やして、より健康でより生産的な人生を長生きできるように促すことで、変化の触媒として働きうることを見出しています。しかし、貧困層はしばしばごく狭い許容範囲の中で生存しているので、生産性の高い部門や労働市場への順応といった特に短期間に進む変革プロセスには甚だ弱い立場にあります。
 基礎的な市場機構やインフラストラクチャーが整備される前に、国の農業市場を国際競争に開放する、特に補助政策を採っている競争相手に開放することは、貧困と食料確保にとって長期的な負の結果をもたらし、その国の農業部門を危うくしかねません。
この分析研究から得られた多くの重要な教訓の中には、貧困層の成長を促すために、貿易や補完的政策をどのように用いることができるかについて、政策立案者たちは注意深く考える必要のあることが示されています。
 本報告は、ツイントラック・アプローチ(‘twin-track approach’:‘2本立て’あるいは‘2車線’手法。訳者注)を推奨しています:貧困層が貿易関連諸機関から利益を得る能力を持つようにするための人的資源、機構、およびインフラストラクチャーへの投資;および、社会の弱者たちを守るためのセーフティネットの確立、です。

−裏表紙紹介文より−

 
 
 
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