村むらの開発をめざすNGO活動ハンドブック             著者:長田明夫

いま、多くのNGOが農村開発や農業に関わる活動を行っています。それらは、農村貧困層の自立への支援や、環境の劣化により低下した農業生産性の回復、荒廃した森林を回復させる植林など、グローバルイシューへの取り組みです。これらの問題は、いずれも解決困難なものであり、息の長い、忍耐強い努力の積み重ねが必要となります。
本書は、このような農村開発を目的としたNGO活動を、多くの人に理解してもらいたいとの願いをこめた入門書です。
また、農村開発と農業技術は密接な関係にありますが、現在までに農林業分野のNGO活動を農業技術者が解説した著作は多くありません。そこで本書は、技術的な事項にも重点を置きました。

<目次>

T NGOとは何か

 

NGOの定義、NGOの活動分野と活動形態、NGO活動の理念、
日本が受けた援助、NGO活動の特徴、NGOの歴史、データで見る日本のNGO

U 活躍するNGOの実態

  1.日本のNGO  (18団体を紹介)

  2.欧米諸国の主なNGO

 

アメリカ、ドイツ、イギリス、カナダ、オランダ、フランス

V 政府および地方自治体とNGO

  1.政府のNGO支援制度

  2.地方自治体とNGO

 

地方自治体のNGO支援、大阪国際交流センターのセネガルにおける植林活動、
鹿児島県とNGOの連携活動、山形県とNGOの連携活動、
広島県のNGO活動支援、埼玉県国際交流協会、大阪市国際交流協会

W 開発途上国の農業の特徴

  1.熱帯の気候

 

アジア、アフリカ、中央・南アメリカ

  2.熱帯の土壌

 

熱帯に分布する主な土壌、水田の問題土壌、イネの栄養障害

  3.貧困と低い農業生産性

  4.農耕文化の多様性−稲作を例として

  5.主な熱帯作物

 

ココヤシ、アブラヤシ、パラゴム、キャッサバ、ヤム、タロ、バナナ、
パイナップル、コーヒー、カカオ、コショウ

  6.農民農業と農園農業

  7.焼畑農業

  8.森林・マングローブの崩壊

  9.植物遺伝資源

 10.農業制度−農業技術普及

X 適正な協力課題と技術の選択

  1.試行錯誤の国際協力

 

インドネシア西部ジャワ食糧増産協力、
インドネシアにおけるトウモロコシの開発援助、
援助依存症−JVCの経験、フィリピン・ネグロス等のバナナ栽培−JCNCの経験

  2.適正技術

 

適正技術の意義、日本型とインド型イネの苗代播種法の差異

  3.草の根農民技術

 

水稲の水苗代の表面を平らにする方法、水稲アウス・アマン混播法、
トウモロコシの立毛保存法、籾殻灰による貯蔵ダイズのマメゾウムシ防除、
雨期における野菜種子保存法、草木灰散布によるナスのshoot borerの防除、
木おけに竹筒をつけたじょうろ、肉用牛の離乳方法、鶏のひな用水飲みジャー、
住宅高床下を利用した蚕の飼育

Y ODAとNGO

  1.政府開発援助

  2.JICAによる技術協力

  3.プロジェクト方式技術協力の事例

  4.ODAの評価

  5.ODAとNGOの連携

 

オイスカ農業者育成研修コース、JICAとNGOスタッフの研修、
オイスカ研修センターにODAの導入、JICAとNGOが連携した技術協力、
開発福祉事業、開発パートナー事業、NGO・外務省定期協議会、
外務省のあたらしNGO支援策

  6.欧米諸国におけるODAとNGOとの関係

 

アメリカ、イギリス、オランダ、カナダ

Z NGO活動の事例

  1.作物栽培

 

マレーシア・ロジンハイランド傾斜地農業指導、ネパール・カカニ農場技術指導

  2.山村開発

 

ラオス焼畑地域農村開発事業、ベトナム少数山岳民族の自立促進事業
タイ・メーコックファーム農業指導

  3.畜産

 

インド・マハラシュトラ州酪農開発指導、ボリビア・サンタクルス州養鶏指導、
中国最貧地域経済開発事業

  4.植林

 

メキシコ・プエブラ州植林指導、AICAFの植林現地調査、
タイJVC農業植林プロジェクト

  5.農村技術

 

中国河南省竹工芸技術指導、パプアニューギニア農機具製作・修理技術指導、
カンボジア籾殻利用代替燃料開発

  6.人材育成事業−南南事業

 

南アフリカ・イシナンバ地域農村開発事業、ザイール・シャバ州農村開発事業、
ラオス環境保護・高地農業事業、グアテマラ農村自立支援事業

[ NGO活動の課題

 

活動資金、専門技術と人材の育成・確保、ODAとNGOの連携、事業の評価