平成16年度実施した人材育成事業からの報告 〈1〉


       植林と環境教育、その取り組みと普及システム

 団体名

カランガ二アール研修センターにて記念植樹

財団法人 オイスカ

 事業名

マングローブ林再生事業と
環境教育普及事業

 対象国

タイ王国

 事業概要

製炭やエビの養殖場作りのために伐採され、疎林となってしまったマングローブ林の再生事業をタイ政府と協力して進めている。すでに昨年までで500ヘクタール以上もの植林が終了しているが、今後更に400ヘクタールの事業を予定している。
また、こうした植林事業を進めるにあたって、単にプロジェクトとして進めるのではなく、地域の森作りとして生きたプロジェクトにするためには住民の「教育」が不可欠である。なぜ植林するのか、森作りからどのような効果が生まれるのか、伐採が生む問題とは何か、こうしたことを地域住民、特に子どもたちを中心に教えてゆく。こうした「森の大切さ」を学習するとき、頭で考えるのではなく体と心で実感し、真に理解することを目的とした環境教育を進めている。

 研修内容

インドネシアでも同じく行われているマングローブ林再生プロジェクトの視察と、担当者や地域のプロジェクトリーダーとの懇談を通じ、プロジェクトにおける問題点やその解決手法、また地域との連携システムや住民のモチベーションをどのように上げているのか、などを学んだ。
また、2つの研修センターを訪問し、人材育成とセンター自立について現場で見聞きし、意見交換した。このセンターを中心に行っている学校への環境教育の現場も視察し、スタッフや学校の先生の話をうかがった。また子どもたちと交流しながら植林も実施。インドネシアでの環境教育の現場を体験した。

 成果・研修参加者の反応など

マングローブ林再生プロジェクトの視察では、地域住民との協力体制や1つのプロジェクトから住民が自主的に取り組む総合的地域開発プロジェクトへ発展している様子から多くのことを学んだ。
また、地域のインドネシア人のみで運営されている研修センターには特に感動している様子であった。母国と地域の発展のために日本人の手を借りずに自らの手で運営し、アイデアを凝らし、問題を解決し、研修を進めている様子から大変刺激を受けていた。早速タイからもこのセンターへ研修生を送り、農業技術のみでなく、その運営システムなどを研修するシステムを作りたいとのアイデアも出ている。インドネシア側からもタイとインドネシアでの交換研修生のアイデアに賛同していただいた。機会を捉えて是非実施したいと思う。自立しながら地域開発に取り組むことはオイスカタイにとっての課題であり、大変よいモデルケースを視察することができたようだった。 

 研修同行者から一言

今回のような日本以外の近隣諸国への研修視察という機会はなかなか得られない貴重なものである。しかしその意義は大きく、かなり以前から現場からも強い要望の声が上がっていたものでもある。今回の視察でも参加者は想像以上の刺激を受け、また多くのことを感じ、学んでいた。「教育・人材育成」があらゆる点において重要な意味を持っていることを改めて感じた。それは地域住民の教育であり、子どもの教育であり、そしてプロジェクトを推進するスタッフの育成である。指導者でありコーディネーターであるスタッフがこのようなよい刺激を受け、良い教育の機会を与えられることもまた、プロジェクトを成功させる大きな鍵である。
最後に今回このような貴重な機会を与えていただきましたJAICAFに感謝申し上げたいと思います。また、すばらしい研修にしてくださった受け入れ機関であるオイスカインドネシアとその関係者の皆様にも改めて感謝申し上げます。

 

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