取り組めば少しずつ、しかし必ず進歩がある

団体名

特定非営利活動法人 地域国際活動研究センター(CDIC)

協力活動名

ファトマシ村パイロット農園による有機農業支援の評価調査

対象国

東ティモール

活動概要

 当センターは、2003年より東ティモール国ファトマシ村で村人参加型の集団養鶏プロジェクトを始めてきた。 日常的には同地の聖心侍女修道会東ティモール修道院の協力を得て村落開発として進めてきている。 今回の専門家派遣の目的はこれまで約5年間行ってきた(1)集団養鶏(2)有機農業の導入(3)家畜飼育事業の現状を対象農民に聞き取り調査を行い、 当センター事業の成果を評価することである。



有機農業グループの聞き取り調査を行う専門家


有機農業グループが新しく借地した土地の様子(乾季)

専門家の指導内容

(1) 集団養鶏

養鶏小屋はすでに2006年の時点で3棟目が完成しており、施設は維持されている。 公募グループで進めたが、家族単位が良いということがわかり、途中から切り替えている。 5年間という長期間の中で、このような当初気づかなかった村の状況、人間関係、大家族制などの知識を得ることができたことは収穫といえる。 2006年5月の内戦の経緯を踏まえ、3番目グループは、鶏に代わり2008年よりウサギ飼育を始めている。飼育方法は適切と思われた。

(2)有機農業の導入

元々、化学肥料は使わず、農薬も使用しない農業をしてきているので、有機農業導入は難しくないと思われる。 有機農法セミナーは好評で、「よい情報を得ることができ、とても感謝している」という村の意見だった。 しかし、種子が良いものがない、焼き畑が日常的に行われている、流通、販売ルートが確立されていないなど多方面にわたる課題が見られる。

(3)家畜飼育事業

有機農業の肥料対策として家畜を導入したが、どの牛も大きく育っていた。 どの家でも名前を付けてもらっており、とても大切に育てられている様子がうかがえた。 牛の飼育によってどのように生活が変化したのか、牛の飼育の問題点、今後どのように牛の飼育を活用したいか等の調査・指導をした。

成果・現地の方の反応など

・農業関連のセミナーやワークショップは、現地ではほとんど行われていないので、今後も開催してほしいとの声が大きかった。

・よい種子は現地で入手できず、どこででも種子が欲しいという話が出た。

・牛は財産でもあり、牛を飼育することが農家に安定をもたらす成果がある。

・日本から継続して毎年協力していることが、村の人々の信頼を深めているとの言葉を現地で聞くことができた。

派遣専門家から一言

 プロジェクトの一環として、液肥の導入など試みているが、そういったものが少しずつ根付きつつあるのではないかと感じは得ている。 何よりも、やる気のある人々が増えているようなので、そういった人々の数々の工夫が、最終的には生産性の向上・環境保全につながることと思う。 そこに、さらなるヒント(きっかけ)を出していけたらと考えている。(有機農業専門家)
 農業支援は、気候や環境のような地理的背景が成功のカギを握る重要な要素ではあるが、それと同時に、現地の歴史、文化、国民性にも大きく影響を受ける。 長くかかわっていかなければ、本当の変化や向上にはつながらない。 今回のインタビューと評価を通し、具体的な声、成果、問題点を認識でき、今後の支援の方向性を考えることができた。(地域調査・貿易業務専門家)