平成15年度実施した専門家派遣事業からの報告 〈3〉


 団体名

   特定非営利活動法人 日本国際ボランティアセンター(JVC)

 キャッチコピー

   環境保全型の水稲栽培で農民の生活向上を目指す

 事業名

 対象国

アヒル水稲同時作普及事業

ベトナム社会主義共和国

 事業概要

JVCは1994年から、ベトナムでアヒル水稲同時作を普及してきた。農薬や除草剤を使わずに労働が軽減され、化学肥料を投入せずに、ほとんどの場合増収となる。さらに、アヒルの肉や卵も得ることができ、農家の栄養改善と収入向上にも結びつく。しかし、支援終了と共にアヒル水稲同時作を止めてしまう農家が多い。
そこで、専門家を招き、農家に対して研修を行うとともに、アヒル水稲同時作普及活動の課題を農民の視点、そして地域作りという視点から提言をいただいた。

 指導内容

北部山岳地域に位置するソンラ省では、アヒル水稲同時作を実践している農家に対して講義を行い、活発な質疑応答がなされた。バッカン省ではパートナーである団体から概況を聞くとともに、実践農家の田圃を視察し、意見交換を行った。
平野部のハイフォン特別市では、実施農家を訪問するとともに、アヒル米流通販売の現状を視察した。
またハノイでは、農業農村開発省と有機農産物の流通について意見交換を行った。

 成果、現地の方の反応など

アヒル水稲同時作実践農家に対する講義と質疑応答、田圃の視察、カウンターパート機関への聞き取りなどを精力的に行った。農家やカウンターパートにとっては実践者からの指導は大きな刺激となり、次の取り組みへの弾みとなった。

 派遣専門家から一言

米の増収技術としてはどの村でも納得されており、アヒルが売れるということも一定出来ている。山岳部での課題はヒナの確保と病気であった。解決策としては孵化を村で行うこと。初生ヒナの初期の問題点を解決すれば導入はそれほど難しくないし、継続も出来るだろう。病気については獣医との連携も必要。
ハイフォンについては、マーケティングの必要性を実感した。ベトナムでの安全な食品へのニーズ、米流通におけるアヒル米の可能性の検証や、消費者サイドの意識高揚もないと難しい。しかし、ハイフォンという大都市の地域性、ハノイへの交通の至便性を考えれば、近い将来に可能性が出てくると思う。