平成15年度実施した専門家派遣事業からの報告 〈5〉


 団体名

   特定非営利活動法人 アムダ

 キャッチコピー

    ホンジュラスの山間村における住民の生活向上と栄養改善を目指した
   
コミュニティ開発

 事業名

ホンジュラス国エル・パライソ県におけるコミュニティ開発支援

 対象国

  

ホンジュラス共和国 

 

          瀧本専門家の手元を覗き込む子どもたち

 事業概要

ホンジュラス東部のニカラグア国境に隣接するトロヘス市において、山間村の住民を対象に、農林業を通じた生活向上および栄養改善を目指した活動を実施している。昨年度の調査結果に基づき、本年度は、同市2村において、森林科学と野菜栽培の専門家を派遣し、住民参加型の植林および野菜栽培を行った。

 指導内容

コミュニティの住民参加を促進し、野菜栽培と植林を実施した。地元で得られる材料を活用した土壌改良や自然農薬作り、また、混作や輪作を通じて、持続性を念頭においた農業指導を行った。野菜栽培については、初心者も含め、動機付けや組織化を含めて活動を行った。雨季で病害虫の多い季節でもあり、IPM(総合防除)の導入を図った。今後は地元の農業機関が活動のフォローアップを続ける。これをモデルとして、来年度以降、子どもの栄養状態が悪く、また、住民の同事業に対する参加意欲が強い他の地域に広めていく予定である。

 成果、現地の方の反応など

植林に関する住民の意欲は高く、果樹、材木用樹種など多様な品種の植林を行った。来年度は、樹種を絞り、苗床から行いたいという住民からの希望も出ている。同市には、農業を支援する機関が少ないため、今回の活動は住民の注目を集め、地元ラジオ局からもインタビューを受けるなど関心の高さがうかがえる。また、家庭菜園レベルに留まらず現金収入の向上に繋がるようなマーケティングも含めた事業を期待する人々もいる。

 派遣専門家から一言

事業地トロヘス市で森林破壊が進むと、川の水量不足が水質悪化を引き起こし、下流域に隣接するニカラグアの農村まで広範囲に影響がおよぶ可能性がある。山間部の農地では、トップソイルが失われ、多量の化学肥料と農薬を使用しているため、もともと地力があるにもかかわらず土壌の損失や劣化が進んでいる。また、十分かつ必要な野菜を取得することができないため、栄養状態が良くない。そのような中、住民たちは現状を認識し、専門家とともに持続可能な農林業の導入に積極的に取り組み始めている。

伝統的な方法(左奥)と練り床とで成長を比べる