平成15年度実施した専門家派遣事業からの報告 〈6〉


 団体名

   特定非営利活動法人  ヒマラヤ保全協会 (IHC)

 キャッチコピー

   西ネパール初のチーズができた!

 事業名

 対象国

パウダル村チーズ造り・
マイクロファイナンスプロジェクト

ネパール国

 事業概要

ネパール中西部ミャグディ郡パウダル村では、高等学校の教師を雇用するなど教育の充実を目指しているが、現金収入を得るための産業が存在していなかった。そこで、本来ネパール人にはチーズを食べる習慣はないが、マイクロファイナンスを利用してチーズを製造し、観光客用のロッジに販売するという本事業を開始、2001年に西ネパールで初のチーズが完成した。
農家は融資を受けて乳牛を購入し、牛乳をチーズ工場に販売することにより、返済および収入向上につながる。チーズは周辺のロッジに販売し、売上げは村の学校運営費に充てられる。
2001年度専門家派遣に続き、2002年度にも以下の指導を行った。

 指導内容

@マイクロファイナンスの貸付・返済状況の確認
Aホエイの処理方法について
B生産調整、コスト削減などのマネジメント指導

 成果、現地の方の反応など

@マイクロファイナンスの運営に関しては、これまでの専門家の指導が活かされ、順調に貸付・返済されていた。
A2001年度の派遣で、チーズ生産の副産物であるホエイは環境に負担をかけるので、そのまま排水せず、牛に飲ませることを提案した。提案通り、乳牛を所有している家族が餌に混ぜて与えており、ほぼ解消された。
B政情不安により観光客が減少しているため、チーズの販売拡大は困難である。そのため、コスト削減や生産調整を提案した。現在、毎月の生産量は抑えられロスを減らす努力がなされている。

 派遣専門家から一言

ネパールは世界最貧国のひとつであり、自然環境を保全しながら、人々のくらしを改善・向上させることが大きな課題になっている。そのためには、やみくもに近代化をすすめるのではなく、まず、ヒマラヤの自然がもつポテンシャルを生かし、そして、人と人との協力をベースにした国際協力をおこない、人々の自立をうながすやり方で事業をすすめていかなければならない。このよう意味で、今回の事業は非常に大きな成果をあげたといえ、このようなやり方がネパール各地で今後展開されることを期待したい。