平成17年度実施した専門家派遣事業からの報告 〈3〉


~ アジアにおける農業開発と環境との調和を目指して ~

 団体名

ナンパ農村における焼畑の様子(2004.8.6)

特定非営利活動法人 
         環境修復保全機構

 事業名

タイ国ウッタラディット県における自然資源の循環システム化による持続的農業環境の構築

 対象国

タイ国

 事業概要

本事業では土壌保全の専門家1名(山本尚行)を平成16年度より引き続き派遣し、タイ国ウッタラディット県ナンパ農家を対象に焼畑で処理されてきた残渣物の堆肥化を推進することを目的に、改訂版パンフレットの作成・配布、有機農業グループ育成研修、ペレット堆肥作成機の設置・運用、ワークショップの開催等の技術支援および啓蒙活動を実施した。

 指導内容

堆肥づくりに取り組んでいるナンパ農家の中でも,理解度および進行状況に差があり、その大きな要因としてグループで取り組んでいるかどうかが挙げられることが明らかとなった。そこでナンパ農村域の各村において、改訂版パンフレットの作成・配布、ペレット堆肥作成機の設置・運用、ワークショップの開催等に加えて、希望する農家を中心に有機農業グループの組織化を推進した。さらに、平成17年8月から平成18年2月まで専門家および現地協力スタッフらが定期的に堆肥の管理・施肥方法やペレット堆肥づくりに関する技術的な研修を実施し、研修農家が主体となって周辺農家と共に循環型農業を促進できるように指導した。

 成果、現地の方の反応など

研修の結果、有機農業グループの堆肥に対する理解は向上し、農家自身で工夫して、良質な堆肥が作れるようになった。また、有機農業グループは自ら会費を収集し堆肥資材の購入や新たな土壌保全対策等を検討するとともに、政治団体や政府の土地改良局などと資材や労力の提供や現金の負担について交渉を行い、自立的に事業を促進し始めている。

 派遣専門家から一言

有機農業グループの堆肥づくりに関する発表を中心にワークショップを開催したことで、各村の有機農業グループに参加する農家が増え、多くの農家が協働で堆肥やペレット堆肥づくりに取り組むようになった。
今後、有機農業グループを中心にワークショップ等の企画を提案するように促して周辺農家への支援を強化するとともに、大型堆肥槽の増設等の堆肥づくりに関する設備の補強に徐々に取り組むことで、事業終了後においても現地農家が自発的に持続的な循環型農業を維持できると期待される。

有機農業グループによる発表の様子(2005.8.14)

ペレット堆肥作成デモンストレーションの様子(2005.8.14)